新しく仕入れた楽器が、色んな意味でなかなか慣れないので、久しぶりに「タファネル&ゴーベールの日課練習」を使いました。

最近はめっきりこれを開いていませんでした。

実は過去にもブログでこれについて書いたことがあります。

タファネル・ゴーベールの日課練習について


この教材は、「指練習」のためのものだと思っている人がかなりいます。
指の運動性を高めるための教材だと思われているわけです。

実際私も指回りをよくするためのものとして紹介されました。
もちろん、先生がそういう認識だけで勧めてくれたわけではないのでしょうが、 私はそういうものなのだろうと思ってしばらく使っていました。


あなたはどうでしょうか。
「タファネル&ゴーベール」と聞くと、瞬間的に指の練習の教材みたいなイメージが出てきませんか。


これが苦行練習なんですよね(笑)
色んな人に聞いても、辛い練習だと言います。

ネットのブログを見ていても、そういう意見が多いです。

メトロノームをつけて、この練習課題の内容をテンポを上げながらやっていく・・・
これが苦行にならないはずがありません。

使い方を間違っているのです。



私はこの「タファネル&ゴーベールの日課練習」を、はるか昔に買いました。

でも今見ても新品に近い状態です。

どれだけ使っていないかがバレてしまいそうです。


何回も挫折しました。

途中でやめたくなるんです。続かないんです。


この教材は、指回りをよくするための練習教材では決してありません。

では、何の教材なのか。


音作りのための教材です。
少なくとも、前半はすべてそうです。

フルートという楽器は、指の動きと音の良さが想像以上に連動しています。


今は遊びで頭部管を変えて試すことがよくあるのですが、胴部管は全く同じものを使っているのに、頭部管の発音が違うだけで指の連動は随分変わります。

手だけが機械的に動く人であればこんなことにはならないのかもしれませんが、残念ながらほとんどの人は脳の意識と手の動きは連動しているので、どうやっても音色と指は相互に影響を受けます。


単音でだけ、ただ伸ばして美しい音色を出せたところで、それは何の役に立たないんですよね。


この「タファネル&ゴーベールの日課練習」を、指の練習だと思ってやっていたら、そのうち本当に手だけが独立して動く曲芸師みたいになってしまいそうです。

この練習課題は、ただ早く動かせるようにするための練習ではなく、「常に美しい音で演奏できるようにする」ための練習です。


昔はこれを苦行練習だと思っていましたが、練習の意図を理解してやっているうちに、やっているそばから音色の美しさが分かるようになるので、こんな実践的な練習は他にはないと思えてしまいます。

ちなみに私は、この練習をするのにメトロノームは要らないんじゃないかと思い始めています。
なぜなら、メトロノームのテンポに入れることをめがけて練習すると、注意がそちらに向くことでストレスになるからです。



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