「タファネル&ゴーベール」というキーワードでアクセスしてくる人が増えてきました。

実はちょうどこの話を書こうと思っていて、ちょうどいいのでここで書いてしまうことにします。

先日こういう記事を書きました。

タファネル&ゴーベールの間違った使い方


私もまたタファネル&ゴーベールの日課練習をやり始めました(笑)
はい、最近になるまでサボっていたんです。

何しろ、大変ですから。


先日の記事で、「音作り」のためにやる教材だという話をしました。
単に指回しを目的にやっていたら、いつまで経っても何の役にも立ちません。

それに気づいたのは割と最近になってからです。


それに気づいたのは、モイーズのヴィブラートの教本を読んでからです。
この本についてもまたそのうちブログで紹介したいと思います。

この中に書かれている話で、ヴィブラートの練習をする前に基準音となる「シ(中音域)」の音をクリアで生気のある美しい音にしてから始める、というようなことが言われています。

これ、どこかで聞いたことがありませんか。


そうです。
ソノリテです。

ソノリテにもこれに近いことが書いてあります。
ソノリテを最初に読んだときは、きれいな音を作ってからやるのがいいんだろうなと言うのは漠然とは理解していましたが、このヴィブラートの教本を読んで新たな確信を得ました。

この教本には、わざわざ練習課題の譜例の前に、基準音の「シ」が書いてあるわけです。
常にこの基準音の美しさを保つことを意識しろということですよね。


これをタファネル&ゴーベールの日課練習に応用すると、ものすごく捗ります。

いきなり指回しの練習なんかしたらダメなんです。
このタファネル&ゴーベールの日課練習は、開くといきなり譜面が表れ、大した説明もないままひたすら練習課題が繰り広げられるという、初心者の心を折るのは十分なくらいに不親切な教本です。


この基準音を作って練習する、つまり指回しよりも「音の維持」を意識しながら練習することでこの本の威力が初めて発揮されます。

タファネル&ゴーベールの日課練習の教本を持っている場合は、ぜひこれを試してみてください。
これだけでも結構変わりますよ。

この教本の譜面を見ていると、どうしても漫然と練習してしまいます。

「そんなことはありません。私はこれをまさに毎日日課のように集中して取り組めています。あなたとは違うんです。

という人もいるかもしれませんが、そういう人ばかりじゃありません。
というより、大半の人はこの教本を漫然と練習しているはずです。

そうでなければ、退屈な練習課題とか、「ピアノでいうハノン」などという比喩はなかなか出てきません。

これでめちゃくちゃ挫折しまくっている人がいるから、そういう言われ方をするわけです。


そもそもこの教本は、趣味でフルートを始めたような人が気軽にやるようなものじゃないんです。

この教本は、実はサブセットです。

「タファネル&ゴーベール 完全なフルート奏法」という総合的な教則本があり、その2巻にある日課練習だけを取り出して一つの冊子にしたものが「タファネル&ゴーベールの日課練習」です。


この「完全なフルート奏法(Methode Complete)」は、実は私も最近にやってちゃんと読んだのですが、驚くほど参考になることが大量に書かれています。

日課練習なんかやる前に、この本を読み通す方がはるかに効率がいいと言い切ってしまえるくらいにいいです。


この本の序盤には、こんなことがわざわざ書かれています。

「難易度の如何にかかわらず、どのエチュードを練習する時にも、常に次の規則を忘れてはいけません:音や響きの純粋性や音程はフィンガリングよりも重要である。

その他にも、音はどうやって出すのかについて、かなり詳細な記述があります。
歌口にどうアプローチするか、楽器のどこにどういうふうに息を当てるのか。

先週、ちょうどこんな記事を書きました。まさにこれに対する一つの答えが載っているような印象でした。

感覚論に頼らないために 

中音域と低音域の音はどう吹き分けるのか、という疑問についてです。


この教本には、感覚的な説明があまりありません。
「息の糸」というような比喩表現はあります。それでも、温かい息とか冷たい息というような感覚的なものよりは随分分かりやすいです。

日課練習の教本でメトロノームを使って日々打ちのめされるくらいなら、とりあえずしばらくの間はこのオリジナルの方で勉強した方がいいです。




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