フルートレッスン戦争記 第二幕 - 遊びで終わらせないための実践技術

なぜ私たちは、なかなかフルートの演奏技術が上達しないのか。うまくいかないのは練習方法にあるのか、それともレッスンにあるのか。その謎を解き明かしていきます。

あなたもハマっているかもしれない楽器練習の罠

比較的最近になって、ようやく分かり始めたことがあります。


意識はしていたつもりでした。
でも少なくとも数年前までは、それがどういうことなのかまでははっきりと分かりませんでした。

もちろんフルートについてのことですよ。


何だと思いますか。
過去のエントリーや、他のブログを探してみても、ほとんど見当たりません。
特に本や雑誌、ブログではまず見つけられません。


私は随分前に、これを何度か直接言われたはずでした。
そのときは「それはそうだよね」とは思っていたのです。

思っていたのに、意識できていたのに、はっきりと自分の中に意識づけることまではできていませんでした。
自分で気づいていなかったからでしょうね。


さて、それは何でしょうか(笑)

それは練習をそもそも間違っていたということです。
はい、間違っていました。

間違えまくっていました。
無理もないことなのかもしれません。


楽器のレッスンを受け始めたときから、何となく気になっていることではありました。
別にレッスンの悪口を言うつもりはありませんよ。

大人の音楽レッスンというのは、そういうアプローチなのですから。


でもこれに甘んじていると、いつまで経っても変わらないということに、今になってようやく気づきました。

最近はもうほとんど読まなくなってしまいましたが、フルート関連のブログの大半は、楽器に関することです。
楽器のこと、そして楽器をどう鳴らすかということ。

音質とか音色についての話も同じですね。


このブログにも、その手の話は山ほどあります。
興味がそれに向かってしまっているので、他のことに気が回らないのです。

私もフルートを始めてから、随分長い間、フルートの「音」についてずっと考えてきました。どうやっていい音を出すか。それだけですよね。
ひたすらそんなことばかり考えていたわけです。

それはそれで収穫はありました。


確かに音質はよくなりました。
人に聞かせても、「よくその楽器でその音色が出ますね」と言われるまでになりました。
多分同じくらいの経験、あるいはもう少し上級の人よりははるかにマシな音が出せるんでしょう。

でも、それどまりなのです。
音楽は全然ダメでした。
曲が曲になっていないような気がするわけです。


これって、私に限った話ではなく、日本人は結構陥っている罠なんじゃないかと思います。
細部から入って、細部にこだわり続けてしまうという病気です(笑)

いつまで経っても本質が分からず、細部だけがよくなっていく。
何か知らないけど葉っぱだけはやけにリアルで、幹は細いんです。



どうですか。
あなたも同じように思い当たることがあるでしょうか。

戦い方も知らないのに、剣の刃をずっと磨いているような感じですね。
切れ味はいくらよくても、当たらない。そもそも満足に構えたり振り下ろしたりできないわけです。

順番が間違っているんですよね。


剣に詳しくなりたいわけじゃないんですよね。
剣の使い方を極めたいわけでもありません。
それを使って戦いに勝ちたいわけです。


本当に演奏できるようになりたかったら、剣を刃を磨いている場合じゃありません。
戦い方をまず覚えないといけないのです。

まあフルートを手に持って音を出すのはやっぱり楽しいですけどね。
 

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実はとんでもない楽器でレッスンを受けていたりします

実は今日、とある楽器を入手してしまいました。


2008年の頃からずっと気にはなっていたものです。
何の楽器か分かるでしょうか。そうです、あれです。

本当は今すぐにでもこの話を書いてしまいたいくらいなんですが、もうちょっと引っ張ります(笑)

まだちょっとしか触っていないので、もう少し遊んでからじゃないと特徴が分からないんですよね。


ということで、しばらくのメイン楽器はまだ「変わり種」フルートです。
この楽器も触り始めてから、もう2年以上は経つことになります。

フルートレッスン戦争記 第二幕 - 遊びで終わらせないための実践技術 : 変り種フルートでレッスン

このブログでも、この変わり種フルートがどういうものなのかまったく説明したことがありませんでした。

そのうち写真でも撮って、きれいにまとめようと思っていたんです。


でもだめですね。
きれいにまとめようとすると、いつまで経ってもまとまりません。


さてその変わり種フルートとは何なのか。

答えは、これです。


Tocco FLUTE

樹脂製のフルートです。
プラスチック製と言うと本当におもちゃみたいに聞こえるので、あえて樹脂製としておきます。

これが、まあ鳴るんです。ちゃんと吹けば。


最初は興味本位で買った代物ですが、その楽器の軽さと音色感、音の鳴らしにくさがあまりにも面白くて、いつの間にかメイン楽器になっていました。


この楽器のユーザー自体もそんなにたくさんはいないと思いますが、さらにこれでレッスンを受けていて、なおかつもう2年以上も使い続けているというような人は、さすがに私くらいしかいないんじゃないでしょうか(笑)。

見た目のインパクトがいいですよね。
この見た目で、金属製のフルートと大して変わらない音がするのです。


はっきり言ってこんな面白い楽器はありません。
適当に吹いてもあんまりまともな音がしないのがまたいい。

このToccoを使って散々練習した後に、金属製のフルートを吹くと、あまりの鳴らしやすさに拍子抜けします。
そのくらい音が出ません。

録音して聴いたらサッパリ分かりませんが、自分で吹いていると、妙に乾いた音がします。
どんなに色んなものを込めても、潤い感はなかなか出ません(笑)。


とにかく軽いので、体力がない人にはいいですよね。

今日入手した新しい楽器は金属製なので、これを持ってからToccoを触ると、そのあまりの軽さに自分でびっくりします。

そのToccoも新型が出てしまったので、どうしようか考えています。


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ちゃんと生きています

第二幕になってから、なんと軽く1年が経過していました(笑)。


ちゃんと生きています。
ちゃんとフルートも続けていますよ。

熱も下がっていません。
むしろフルート熱は上がっているくらいだったりします。

でも、以前と比べるとちょっと力の入れ方が違っているかもしれません。


以前は単純に趣味レベルでやっていましたが、今はほとんど毎日に近い頻度で練習しています。

フルートのレッスンも8年近くは通っている計算になり、年数だけで考えるととても初心者には見えなくなってしまいました。


レッスンをやめるつもりはありませんが、フルートに対する関わり方はちょっと変えてみようかと思っています。
その一つがこのブログですね。

このブログでどこまで掘り下げることができるか、挑戦してみようかと思っています。


実は再履修したアルテスは、なんと未だに1巻が終わっていません。

いいんです。
教則本を進めることがレッスンの目的ではありませんから。


レッスンもそうですが、日々の練習も、思えば何も考えずにやっていたなと思います。
これで上達しようと考える方がおかしいんでしょうね。

レッスンを始めた頃には全く気づかなかったことも今は大分見えるようになりました。
そういうことを書いていくことにしましょう。
 

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立てた目標を達成できない本当の理由

奮起して再始動しました。


フルート熱もいつになく高まっています。
レッスンや練習に行きたくて仕方がないのです。

久しくそんな気分にはなりませんでした。

アンサンブルのメンバーや先生には申し訳ないとは思うのですが、今考えてみると、この1、2年くらいはものすごい熱があったかと言えば、正直なところ、ほとんどありませんでした。

「興奮して夜も眠れない」

とまではいきませんが、とにかく早くフルートを再開したいという気分にはなっていました。


ところが、、、

大雪や先生の休みなどが重なり、なかなかうまい具合にレッスンにありつけないのです。

たまらずに、こっそり練習には行きました。


今回は、目標設定についてです。
これはフルートや楽器練習に限ったことではありません。私もごく最近まで勘違いしていたものです。

勉強や仕事など、その他色んなことに当てはまります。


よくあるのは、正月に一年の目標を立てたのに、翌年の正月には去年立てた目標を見事に忘れていて、全く同じ目標設定をしてしまうというものです。

実際このブログでも、見事にその型にハマったことをしてしまっています(笑)。

立てた目標は年末まではっきり意識できている人もいます。
しかし、それをリズミカルにちゃんとクリアできている人は、実際のところほとんどいません。

ほとんどいないんです。


つまり、私だけじゃないんです。


なぜ多くの人は、目標設定はするのに、それを達成できないのか。
私は楽器の練習にはまだこれを当てはめていませんでしたが、自分の仕事をやっていく中で気づいたことがあります。

それは、目標の立て方自体が間違っているということです。


私たちは、目標を考えるとき、何らかのゴールを設定します。
だいたい子供の頃からそう教わっていますし、例えば会社に入って目標設定の仕方を指示される場合でも、やはり同じように教わります。

「達成条件が明確になるように、数字の目標にしろ

とか、

「期限をつけろ」

とか、聞き覚えがありませんか。

期限はいいです。
達成条件としても、期限は必要でしょう。

しかし、数字の目標とか、達成条件が明確になるゴール設定というのが極めて厄介です。


「それって、中間目標を設定しろって話でしょ?そんなの知ってるよ」

という人もいるかもしれません。

違うんです。

それも確かにあるんですが、中間目標を設定したところで、それがやはりこれまでの発想のゴールだとなかなかうまくいかないのです。


仕事では特にやるんですが、こういう目標を自分で設定しまいます。

「3月までに月商○○万円」
「今年中に営業成績で部門1位」
「6月末の試験に合格」

やりませんか。

あなたの周りにも、こういう人は結構いるはずです。

これは、楽器の練習で言えば、

「3月までに曲『○○』をマスターする」
「10月までに教則本1を終わらせる」

といったものに置き換えられます。


実際このブログで、私もそっくり同じことをやってしまっていました。

でも、これでは達成できないんです。
これは意志が弱いとかの問題ではなく、人間が達成しづらいことをあえて目標として掲げているためにうまく行きにくくなっているだけなのです。

これに気づくまでに、ずいぶん長い時間を費やしてしまいました。


実際にこの手の目標設定をしてうまくいく人もいます。
それはそれでいいのです。

でも、大多数の人はうまくいきません。 
うまくいく人のほうがすごいだけです。


なぜうまくいかないのか。
それは、立てる目標が「自分ではコントールできない成果」になっているからです。 

売上いくらとか、順位が何番とかいうのは、自分ではコントロールできません。
資格試験合格も同じです。頑張ればできるかもしれませんが、最終的に決めるのは他人です。


曲を仕上げるといった目標なども、違うようで全く同じです。
自分ではコントロールできません。上達スピードを自分でコントロールできたら苦労しないんです。


その目標を達成して得られる成果だけに注目していると、そこに辿り着く前にモチベーションが続かなくなっていきます。
何しろその「成果」とやらがいつ出るか分からないのですから、出るまで無心で頑張るようなマネは苦行でしかありません。

楽器の練習の場合、途中でちょっと「うまくなった」というような実感がある分、タチが悪いのかもしれません。


途中でちょっとした「成果のかけら」みたいなものが見えることによって気分がよくなり、さらに練習に励むわけですが、その「成果のかけら」というものは、練習した分だけ常に出るとは限りません。

何の成果もない日もあるわけです。
そういう日が何日も続くこともあるわけです。

そうなると、もう気力が続かないのです。

どうやったら、気力を維持しながら目標達成できるようになるのか。

その話を次回します。 

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なぜそれが強烈な刺激になったのか

前回の続きです。
 

その発表会が終わってから、懇親会が行われました。

懇親会は、フードコートでテーブルをいくつか借り切って行われました。

私は違う席に座っていたのですが、アンサンブルメンバーの女性陣何人かが別の席に座り、乾杯が済んでから少ししゃべりに行こうと思っていました。

アンサンブルメンバーと同じテーブルに、その彼が座りました。


なかなか乾杯が始まらず、しばらくどうしようか迷っていました。
とにかく話したい。

アンサンブルメンバーとも話したいと思っていましたが、同じテーブルなので、ついでに彼と話す機会にしたいと思いました。


随分待たされた後、ようやく乾杯が終わり、今座っている席で家族や知人と会話をした後、ついに席を立って話をしに行きました。

アンサンブルメンバーに声をかけ、すぐ隣に座っている彼に話しかけました。仮にS氏としておきましょう。

話によると、ブランクはあるものの35年フルートをやっており、会話の内容も驚くものがありました。

60歳を超えているものの、やはり数十年やっているだけあって明らかに知識が深い。
新しい楽器の薀蓄に終始する話とは全く次元が違います。

同じテーブルに座っていたアンサンブルメンバーは、呆気にとられていました。
それは無理もなく、彼女らは私よりも10歳近く若く、S氏とは完全に世代が違います。というか私も世代は完全に違います。

実はこのブログなどを通じて、Sonoreさんと話していたことが、S氏との会話をつなぐことに随分役立ちました。私は経験としてはまだ初心者以下の域でしかありませんが、とりあえず知識だけはありました。


懇親会は、アンサンブルメンバーとも話すつもりだったのですが、思わずこのS氏と意気投合してしまい、ほとんど彼とだけしゃべり続けていました。

そして「今これをやっているんです」と言いながら、S氏がおもむろに取り出した教則本には、何と高橋利夫先生の名前が。
よく見ると鈴木メソードの教則本なのですが、この本の内容がいかに分かりやすく、いかに的を射ているかを語ってくれるのです。

私もそこに何が書いてあるのかはある程度を読んで知っていました。実際に購入して使ったことはありません。

「隣り合った音、だからトナリゼイション」という話をしながら大笑いするS氏を、アンサンブルメンバーの女性陣が苦笑いして見ているしかありません。ギャグの感覚などは世代の問題がやはりありますが、話に出てくる内容は見事です。

ソノリテについてどう思うかを尋ねると、あれはダメだと即答。
モイーズの教本は、旋律曲のものを使ってこそ意味があると言い切り、その場で歌ってみせます。


S氏は私に、何をやりたいんですかと聞いてくるので、マレのスペインのフォリアを目指していると答えると、これまた即答で絶対やったほうがいいと言い、フォリアはコレルリのヴァイオリンのものより、マレのもののほうが音楽的だと絶賛します。

やはりここでも歌い出します(笑)。


ちょっとずつでも練習でやったほうがいいと言ってくれました。

S氏は生活問題など色々とあるようでしたが、年季の入ったムラマツの楽器を見せながら、フルートだけは捨てられなかったという話もしてくれました。

懇親会はわずかな時間でしたが、このS氏に出会ったことで、強烈な刺激を得たことは間違いありません。
確実に頭の中が変わった感じがしています。


置かれている状況が昨年で一変し、フルートも何とかしたいと思っていたところでした。

そこに現れたのがこの人です。
私が勝手に衝撃の人物に会ったと思っているだけですが、今までそういう人に直接会う機会はなかったのです。

本質論の話を聞ける人というのは、実際のところ本当に多くありません。
通っている教室の特性上、先生もかなり若いので、昔の巨匠の話などはまず聞けません。 

目標とする人は何人かいますが、現実的に会う機会はまずありませんから、身近にこういう人が出てきたというのはものすごく重要なことだと思います。
目に見える強敵(?)が現れたことで、明確な比較対象ができ、練習やレッスンにもかなり力が入りそうです。

これを生かせるかどうかは、今後の動き方次第ですね。
 

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